頭をよくする方法&頭がよくなる方法

頭をよくする方法
頭がよくなる方法

教えちゃう!百舌花のウラワザ!



 
*頭脳明晰になる本*

  まずは私が子供のころ読んだ「頭脳明晰になる本」の話から。

ある日、近くの神社でお祭りがあり、友人と出かけた時の事です。神社の境内にある大きな木の下に人だかりがししています。大人達の間からのぞきこむと、そこには1人の痩せ型の男が立っていてました。どう見ても学生にはみえない老けた顔の男でしたが、学生服に学帽をかぶっています。帽子は早稲田大学の角帽のようでしたが記章は隠れています。声は大きいのですが、すごくかすれていて子供の私には何を言っているのか聞き取りにくいものでした。「ズノウメイセキになる」という言葉だけは聞こえたので横にいた野次馬のおじさんに「ズノウメイセキって何?」と聞くと「あの本を読むと頭がよくなるんだそうだ」と教えてくれました。頭の悪さでは甲乙つけがたい私たちは顔を見合わせて、なぜかうなづきあいました。
  学生服の男はチョークを1本手に持ち、木の枝に掛けた小さな黒板の汚い文字をポンポント叩きながらしきりに怒鳴っています。聞けば男は、ある有名大学である研究を重ね将来を嘱望されていたが、教授の奥様とのある出来事により退学のやむなきに至った、というのです。あるが多すぎて子供にはどうも判りづらいのですが、ある出来事のところでは大人達がドッと笑いました。
「しかし、私にも生活がある」と男は続けます。「クニの母には退学した事をまだ伝えかねている。こうして各地をめぐり歩き、今回当地に来たのも何かの縁。これまでの研究成果を記したこの本を皆様におわけして旅費の一部にしたいと思う。この本を読めば、たちどころに頭脳明晰になること間違いなし」そういうと彼は黒板に向かって「私自身がこのすばらしい効果の1例をお見せしよう」とスラスラと数字を書き始めた。数行書くと「諸君、このでたらめに書いた数字をたちどころに計算してお見せしよう」というやいなや、またまたたちどころに答えを書きました。「さあ、どうだ、ひとつの間違いもない」人々からは「オーッ」という賛嘆の声がもれます。私が指折りながら計算を始めようとすると、男は腰に下げた汚い手拭でその数字をあっという間に消し「ではもう一度」と、同じように数字を羅列してまた瞬く間に計算してしまいました。
「今回始めて世に出したこの本、ご当地だけの特別価格わずか千円ぽっきりで、この10冊だけをおゆずりしたい」と足元の風呂敷から薄っぺらな本を1ツカミ取り出して頭の上に掲げました。すると向こう側でずっとしゃがんで聞いていた、見るからに頭の悪そうな青年が、しわくちゃの千円札を突き出した「僕に1冊ください」と言って1冊買い求めました。学生服の男は「これは決して人に見せてはいけないよ。自分1人でそっと家に帰ってから読むように」と言ってわたすと、後は次々と見物人がお金を差し出し、あっという間に数冊売れました。「さあ、あとはいないかな。あと2冊だけでおしまいだぁ」でも残りの見物人は迷って隣同志でささやきあっています。千円は高い。男はその2冊をしまうと、もう1度黒板に数字を書きたちどころに計算をするという見世物を繰り返しました。数分ほどたって始めに買った人達が立ち去ったころ「さて、ここにちょっと汚れてしまった本が十冊ある。もちろん中身は同じだ、ちゃんと読めるシロモノ。この本ならば特別5百円でおゆずりしよう、さあ、どうだ」とまた風呂敷包みから十冊取り出します。それは一部を刃物で傷つけられただけの物で、先ほどと全く同じ「頭脳明晰になる本」と表紙に朱書された薄っぺらな本でした。
5百円でもまだ十分高いようにも思うのですが、わずか数分前に千円だったものがほんのチョットしたキズがあるだけで半額です。躊躇していた大人達は我も我もと買い求め、こともあろうに私の友人までが最後の1冊を買ってしまったのでした。
「さあ坊や、これはウチに帰ってからゆっくりお父さんに読んでもらうんだよ。末は博士か大臣かってとこかな、ハハハハハ」と高笑いしながら、黒板などの道具を大きな風呂敷に放り込み、男はスタスタその場を去って行きました。友人もまた「もっとお祭りを見ていこう」と言う私の声を振りきり、人が違ったようにそそくさと帰って行きました。私はその後姿に向かって手でメガホンを作り「読み終わったら、その本読ませてくれよな」と叫びました。

翌日、学校に行く途中に友人に出会うと、彼はその本をポケットから取り出して私に投げてよこしながら「これやるよ」といいました。
「え、タダでくれるの?」
「ああ、お父さんが『そんなもん捨てろ』って」
ページをめくるろうとすると、この本は袋とじになっていて、読むときは始めにページをナイフなどで切るようになっています。慌てて切ったものか、切り口がぼそぼそでした。
まず1ページ目は「栄養のあるものを食べること」というタイトルで「肉や魚は滋養があるので特によい、牛乳、卵もよい」などという内容です。次は「早寝早起きをすること」「夜十時までには寝て、朝六時までには起きること」とあります。3ページ目は「酒タバコはつつしむこと」と、こんな内容が見開きで20ページほど続き、各ページには、どんな関係があるのか、人体解剖図や手相、足の裏のツボなどの挿絵がちりばめられていました。

この後、この友人とどんな会話をしたかハッキリとは覚えていませんが、この本は「頭脳明晰にする」というよりは「自分がどれほどバカか」を教えてくれる本という気がしました。
でも、今になって思えば、あの本の通り「栄養のあるものを食べ、規則正しい生活をして、酒やタバコをたしなまなければ」少なくても今よりは頭が良くなっていた可能性もあり、まったくのインチキとも言えないような気はするのです。

 マクラのほうが長くなってしまいましたが、話を本題へ戻しましょう。
「頭をよくする方法」と「頭がよくなる方法」は同じではありません。それぞれ方法がちがいますのでひとつひとつご教授しましょう。

   ***「頭をよくする方法」***

◎前準備
  頭をよくするために、健康をそこなっては何にもなりません。安全のため準備は万全を期しましょう。とりあえずヘルメットを用意します。もちろん頭にかぶります。

◎第2段階
  ヘルメットをかぶったら、ビルの壁や塀などの前に立ちます。次に頭を壁などに当ててズルズルとすりながら走り、端まで行ったら方向転換してまた、すりながら走ります。よーくすります。
 以上「頭をよくする方法」です。

   ***「頭がよくなる方法」***

◎前準備
  頭がよくなっても、健康をそこなっては何にもなりません。とりあえずこの場合もヘルメットを用意します。もちろん頭にかぶります。

◎第2段階
  卒業証書などを入れる筒を用意します。なければボール紙を丸めてもかまいません。メガホンでもいいでしょう。それらを手に持って自分の頭を激しく叩きます。直接叩いてもそれ程の痛みは感じませんが、ヘルメットをかぶっていればほとんど痛みは感じないはずです。しかし、音はポンポント派手になると思います。
 以上「頭がよくなる方法」です。

 イヤー、今回の発明もうまくいってしまいましたが、しかし、頭をよくすることも、頭がよくなることも、出来て見ると空しいものです。発明しておいてナンですが、とりあえず私はこのままの「おバカ」でいようと思います。
  
 
 

<おことわり>
なお、この発明で頭にキズを負っても当方は一切その責を負いません。
運用は自己責任でお願いします。事故の責任は自己の責任で。


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